In vivo 薬物動態試験 受託サービス

ティー・エヌ・テクノスでは、in vivo 実験を承っています。in vivo 実験では、化合物の全身的な影響や毒性プロファイルを実際の生体環境下で評価し、より高精度な安全性情報を取得します。薬物の吸収や分布、代謝、排泄( ADME )、毒性の発現部位・メカニズムを明らかにすることで、非臨床段階での候補化合物の絞り込みと、ヒトでの臨床試験に向けたリスク評価の信頼性を高めます。
投与経路、投与期間なども研究目的に応じて柔軟に設計でき、創薬開発の各ステージに対応可能です。信頼性基準に従った試験(信頼性基準適用試験)にも対応しており、規制当局への申請を見据えた質の高いデータ取得を実現します。

主な試験項目

  • 単回投与/反復投与後の血中濃度推移測定(非臨床 PK )
  • 組織分布試験
  • バイオアベイラビリティ( F )評価
  • 血漿タンパク結合率の in vivo 評価
  • その他、ご要望に応じた試験

単回投与/反復投与後の血中濃度推移測定(非臨床PK)

新薬候補化合物の薬物動態評価として、単回および反復投与後の血中濃度推移( PK:Pharmacokinetics )を測定します。
LC-MS/MS などの高感度分析法を用いて、微量でも正確な定量が可能です。
投与量、投与経路、サンプリングスケジュールはご要望に応じて柔軟に設計可能です。
取得データは、半減期( t½ )、AUC、Cmax、クリアランス( CL )などの解析に用いられ、ヒト臨床試験設計の基礎資料として活用いただけます。

組織分布試験

被験化合物の体内各組織への分布動態を定量的に評価します。単回または反復投与後、各タイムポイントで臓器(肝臓、腎臓、脳、肺、心臓、脾臓、脂肪、筋肉など)を採取し、LC-MS/MS などの高感度分析法により薬物濃度を測定します。
本試験により、薬物の標的組織への到達性、非標的組織への蓄積性、中枢移行性( BBB 通過)などの評価が可能です。ご要望に応じて、RI 標識化合物を用いたオーソドックスな分布評価にも対応しています。

バイオアベイラビリティ( F )評価

薬物のバイオアベイラビリティ( F )評価を通じて、投与経路ごとの体内吸収率を定量的に算出します。絶対バイオアベイラビリティ( Absolute F )評価では、静脈内投与( IV )を基準に、経口( PO )や皮下( SC )、筋肉内( IM )などの他投与経路での全身暴露量( AUC )を比較し、実際に吸収された薬物の割合を明らかにします。相対バイオアベイラビリティ( Relative F )評価では、異なる製剤間や開発品と既存薬との吸収性を比較します。
投与設計、サンプリングタイム等は柔軟に対応可能です。詳細はお気軽にお問い合わせください。

血漿タンパク結合率の in vivo 評価

薬物の血漿中におけるタンパク結合率は、有効成分の遊離型( free drug )濃度を左右する重要な薬物動態パラメータです。
当社では、投与後の血漿試料を用いた in vivo 結合率評価を実施しており、投与後の時間経過に伴う結合率の変動や、非線形結合の検出にも対応可能です。
遊離型薬物を平衡透析法( Equilibrium Dialysis )や限外濾過法( Ultrafiltration )、超遠心法( Ultracentrifugation )を用いて分離。
LC-MS/MS で濃度を測定し、全濃度との比から結合率を算出します。
当社では in vitro 結合率評価との比較検討も承っています。

その他、ご要望に応じた試験

当社では、標準的な薬物動態試験に加え、お客様のご要望に応じたカスタム試験の設計・実施にも対応しています。
特殊な投与スケジュール、採血条件、目的に応じた組織採取など、個別に最適化した試験系の構築が可能です。また、特殊剤形やデバイスを用いた動態評価、併用薬との相互作用に関する探索的試験、カスタム分析項目を含むサンプル処理・解析など、ご相談のうえで対応させていただきます。まずはお気軽にお問い合わせください。

信頼性基準適用試験対応

薬機法施行規則(第四十三条)では、医薬品における申請資料の信頼性の基準を規定しています。この基準では、GLP、GCP、GPSP に加えて、正確性、完全性(網羅性)、保存性の原則に基づき申請資料を作成することが求められます。当社ではこれに基づいた試験に対応しており、文書化、トレーサビリティ、品質管理体制の整備により、規制当局への提出資料としての利用を想定したデータの取得が可能です。

薬物動態試験を支える保有技術・実験スキル

<主な項目>

  • 投与 … 経口、経鼻、皮下、腹腔内、静脈内(大腿部、尾部)、筋肉内
  • 採血 … 尾静脈、頸静脈、顔面静脈、心臓、下大静脈(腹大動脈)
  • 試料採取 … 血液、血漿、脳(部位分画も可)、各種臓器、腫瘍、尿、糞、胆汁など
  • 手術 …カニュレーション(頸動静脈、胆管、大腿動静脈)
  • ※遺伝子組換え動物・臨床検体動物などの取り扱いも可能です。
  • ※RI を用いた実験も実施可能です。
  • ※信頼性基準適用試験にも対応可能です。
投与
当社では、in vivo モデルにおける薬物動態試験を支える投与技術を有しています。多様な投与経路に対応し、薬物の特性や試験目的に応じた最適な投与方法を実施します。
  • 経口投与( PO )
    経口投与用の溶液や懸濁液などの剤形に対応。正確な投与量管理と安定した投与技術により、薬物吸収の再現性を確保します。
  • 静脈内投与( IV )
    尾静脈や大腿静脈などを用いた静脈内投与を実施。単回投与および複数回の投与に対応し、確実な薬物導入を可能にします。
  • 皮下投与( SC )、筋肉内投与( IM )
    皮下および筋肉内への投与に対応。熟練の技術者が安全かつ正確に実施します。
  • 特殊投与法
    鼻腔内や腹腔内投与などの経路や、頸静脈カニュレーションを施したラットへの持続注入ポンプを用いた長時間投与に対応します。
採血
当社では、薬物動態試験における正確かつ再現性の高い採血技術を有しています。試験デザインに応じて最適な採血方法を選択し、試験の信頼性を支えているのです。 尾静脈や頸静脈、心臓穿刺、腹大動脈、下大静脈など、目的に応じた採血部位に対応しています。尾静脈からの微量血液の採取にも対応可能で、反復採血を要する長期試験やマイクロサンプリングに最適な技術を提供します。福祉に配慮しながら高品質なサンプルを確保します。
試料採取
当社では、薬物動態試験における高精度な試料採取技術を有しており、生理状態を適切に反映した質の高いサンプル収集を実現しています。
  • 血液以外の多様な生体試料の採取
    血漿、血清、全血のほか、尿や胆汁、組織(肝臓、腎臓、肺、脳など)、臓器内の特定部位など、多様な生体サンプルの採取に対応可能です。
  • 迅速かつ丁寧な採取操作
    薬物分布のタイムポイントに合わせて、速やかに試料を採取し、薬物の代謝・分布状態を正確に捕捉。組織採取時には適切な解剖技術を用い、標的部位を確実に分離します。
  • 試料の取り扱いと保存管理
    採取後の試料は直ちに適切に処理(遠心分離、分注など)した上で、安定性を保つために低温保存(冷蔵・冷凍)することを徹底しています。
手術
当社では、薬物動態試験や安全性試験において必要となる各種外科的手術を、専門的な知識と熟練した技術で実施しています。精密な手術操作により、正確な試料採取や特殊投与を可能にし、試験の信頼性を支えているのです。
頸静脈や大腿静脈、大腿動脈、尾静脈などへのカテーテル留置を実施し、反復採血や持続投与が可能な状態を確立します。また胆管へのカテーテル留置により、投与後の持続的な胆汁の採取を実現します。
病理
  • 組織採取および固定処理
    各種臓器・組織を正確な解剖技術により採取し、10 %中性緩衝ホルマリンなどを用いた適切な固定処理を実施しています。サンプルごとの取り扱い条件にも柔軟に対応し、アーティファクトの少ない高品質な標本作製を徹底しています。
  • パラフィン包埋、切片作製、HE 染色
    組織の脱水・パラフィン包埋、ミクロトームによる切片作製、および一般的なHE染色に対応しています。必要に応じて PAS やマッソン・トリクローム( MT )、Oil Red O などの特殊染色や免疫組織染色も実施可能です。