In vitro 薬物動態試験受託サービス

ティー・エヌ・テクノスには、in vitro 薬物動態試験において30年以上の実績があります。当社の in vitro 薬物動態試験は、薬物の体内挙動( ADME:吸収、分布、代謝、排泄)を高精度に評価するために設計されています。これにより、薬物開発の初期段階における重要項目を評価し、安全性や有効性を最適化するためのデータを提供しています。お客様の新薬開発を加速させ、リスクを最小限に抑えることにお役立ていただけます。

* In vitro 薬物動態試験は、一部を除き申請資料の信頼性の基準(医薬品医療機器等法)に準拠して実施しています

主な試験項目

  • In vitro 代謝安定性試験
  • CYP 分子種同定試験
  • 反応性代謝物試験
  • 酵素阻害試験
  • タンパク結合試験
  • トランスポーター試験
  • 生体試料中の14C 組成分析
  • その他、ご要望に応じた試験

各種薬物動態パラメータの評価に加え、反応性代謝物の検出や CYP 分子種の特定など、多角的な試験に対応しています。
お客様の実験室にてご指定の機器を用いた業務にも対応可能です(一部試験はオンサイトのみ)。

In vitro 代謝安定性試験

薬物候補化合物の体内での挙動を事前に予測するための試験です。
薬物が体内で薬理活性を発揮するには一定時間、代謝を受けずに体内に残存する必要があります。つまり安定性が低い化合物は体内で速やかに分解されてしまい、十分な薬理作用を発揮できない可能性があります。この試験では化合物が体内でどのように代謝されるかを評価し、代謝速度や安定性を解析します。
当社では肝ミクロソームを用いた試験、肝細胞を用いた試験、特定の酵素を用いた試験を実施しており、LC/MS/MS により化合物濃度を測定しています。

CYP 分子種同定試験

薬物候補化合物がどのシトクロム P450 酵素( CYP )によって代謝されるかを同定する試験です。この試験により、薬物の半減期や血中濃度の変動、排泄経路などを予測するためのデータを得られます。
薬物相互作用を予測、回避するためには、化合物の代謝に寄与する CYP を同定することが重要です。特定の薬物代謝酵素による化合物の消失が全体の消失の25%以上に寄与すると推定される場合、臨床薬物相互作用試験を実施することがガイドライン上でも求められています。
当社では、化合物を各 CYP の発現ミクロソームで代謝して、その代謝速度を比較することで、その化合物を最も速く代謝する CYP を同定しています。

GSH トラッピング試験(反応性代謝物試験)

反応性代謝物試験における GSH トラッピング試験は、薬物候補化合物の反応性代謝物の中でも、特にグルタチオン( GSH )と結合する反応性中間体を特定するための試験です。
GSH は細胞内で抗酸化作用を持つトリペプチドで、化学物質が体内で反応的な中間体(反応性代謝物)を生成する際に、その化学物質を「トラップ(捕える)」する役割を果たします。GSH トラッピング試験は、化学物質がどのように代謝され、潜在的な毒性を持つ反応性産物を生成するかを予測するために実施します。
当社ではヒト肝ミクロソームを使用し、化合物の反応性代謝産物を半定量的に評価しています。

薬物代謝酵素阻害試験

薬物候補化合物がどの薬物代謝酵素( CYP )を阻害するかを調べ、他の薬物と併用した場合の潜在的な薬物間相互作用を予測する試験です。
薬物動態学的な相互作用の多くは CYP 活性の阻害に基づきます。CYP 活性の阻害の様式には大きく分けて「可逆的阻害」と「不可逆的阻害( mechanism-based inhibition:MBI )」の2種類があり、特に MBI は重篤な副作用に繋がる可能性があります。そのため CYP 活性の阻害を調べる当試験は、創薬探索段階における重要なスクリーニング試験項目の一つです。
当社では肝ミクロソームや肝細胞を使用し、CYP の阻害について評価しています。

In vitro タンパク結合試験

薬物と血漿タンパク質との結合特性を測定し、遊離型薬物の濃度を予測する試験です。
薬物が体内に投与されると、一部は血漿タンパク質と結合し、残りは自由型(遊離型)として血流に乗って体内に分布します。体内に分布した薬物のうち、作用や副作用に寄与するものは血漿タンパクや組織タンパクと結合していない非結合型薬物であることから、化合物のタンパク結合率を測定することは有効性、安全性をより精度高く評価するために重要です。
当社では平衡透析法( Equilibrium Dialysis )、限外濾過法( Ultrafiltration )や超遠心法( ultracentrifugation )を用いて遊離型薬物を分離し、LC-MS/MS を用いて濃度の測定を行い、全濃度との比から結合率を算出します。

トランスポーター試験

薬物がどのトランスポーターにより吸収、排泄されるのか、または薬物がトランスポーターによる輸送を阻害するのかについて評価する試験です。
薬物が消化管を通過する際、腸管の細胞膜を越えるためにトランスポーターが必要です。薬物と各トランスポーターの親和性を調べることは、薬物間相互作用の理解に繋がります。
当社では Caco-2 細胞を用いた見かけの透過性評価に加え、以下の各トランスポーターを強制発現させた細胞を用いて薬物の透過速度、透過比を評価しています。

評価トランスポーター
P-gp、BCRP、OATP1B1/1B3、OAT1/3、OCT1/2、MATE2-K

その他、ご要望に応じた試験

当社では薬物開発のあらゆるステージで必要な in vitro 試験を提供しており、お客様のご要望に応じて柔軟に対応いたします。一般的な試験に加えて、特定の要件や独自のニーズに合わせたカスタマイズ試験も可能です。試験管からプラットフォームレベルまで、お客様の製品特性や研究目的に最適な試験を提案し、試験後は詳細なデータを提供します。

信頼性基準適用試験対応

薬機法施行規則(第四十三条)では、医薬品における申請資料の信頼性の基準を規定しています。この基準では、GLP、GCP、GPSP に加えて、正確性、完全性(網羅性)、保存性の原則に基づき申請資料を作成することが求められます。当社ではこれに基づいた試験に対応しており、文書化、トレーサビリティ、品質管理体制の整備により、規制当局への提出資料としての利用を想定したデータの取得が可能です。

薬物動態試験を支える保有技術・実験スキル

  • DNA/RNA 抽出:細胞、in vivo 組織、血液など幅広いサンプルに対応
  • 核酸の品質評価:Bioanalyzer や TapeStation で実施経験あり
  • real-time PCR:1度の試験で 384wp 20枚を超える大量測定にも対応
  • 次世代シークエンス解析:ライブラリ作製から測定まで対応
  • プラスミド精製:Miniprep から Maxiprep まで幅広い規模に対応
  • 薬物濃度測定:血漿・尿・組織中の薬物および代謝物の定量
  • ウェスタンブロッティング:SDS-PAGE およびキャピラリー電気泳動で実施
  • ELISA:R&D、abcam、Life Diagnostics、CST など多くのメーカー製キットに対応
  • フローサイトメトリー:ベクトン・ディッキンソン、ベックマン・コールター両社対応
  • 免疫蛍光染色:細胞に加え、切片および三次元組織の染色実施経験あり
  • HPLC 操作:UV、CAD による測定経験あり
  • LC/MS/MS 分析:API4000( SCIEX )、Altis( Thermo Fisher Scientific )、LCMS8050(島津製作所)対応